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by 山本 千夏
マルチテナント SaaS のアーキテクチャ選定: 5つの判断軸
SaaSアーキテクチャプラットフォーム
マルチテナント SaaS のアーキテクチャ選定は、その後の運用・スケーラビリティ・コストに大きな影響を与える重要な意思決定です。本記事では、フューチャーラボがこれまで支援してきた SaaS 事業者との議論から得た、5つの判断軸を紹介します。
第1の軸は、テナント分離の粒度です。Single tenancy / Pool model / Bridge model / Silo model と、データベースから API ゲートウェイまで、どのレイヤーで分離するかを定義する必要があります。エンタープライズ向けでは Silo に近い構成が好まれ、SMB 向けでは Pool 中心の構成が多く採用されます。
第2の軸は、テナントオンボーディングの自動化です。新規テナントが申し込んでから利用開始までを完全自動化できるかどうかは、SaaS のユニットエコノミクスに直結します。Terraform / Crossplane など IaC とイベント駆動の組み合わせが推奨です。
第3の軸は、課金とプラン制御です。Stripe Billing、Lago、Orb などの専門ツールを活用し、自社実装は最小限に抑えるのが定石です。第4の軸はセキュリティ。SOC2、ISO27001 への準拠を視野に、アクセス制御・監査ログ・暗号化の標準化が鍵となります。
最後の軸は、観測性です。テナント別にメトリクスを集計できる設計にしておくと、サポート対応やチャーン分析の精度が大きく変わります。これら5つの軸を、初期段階で議論しておくことで、後戻りのコストを大きく削減できます。